医院ブログ

2017.01.23更新

高齢者に多い肺炎のうち、特に注意すべきなのが、細菌が唾液や食べ物と一緒に肺に流れ込んで生じる「誤嚥性(ごえんせい)肺炎」です。70歳以上で肺炎と診断された人の70%以上が誤嚥性だといわれます。

空気の通り道である気管は喉の奥のあたりで分岐して左右の肺に伸びていますが、右側の管の方が太く角度も鋭いため、食べ物などが入りやすくなっています。このため、誤嚥性肺炎では右肺に炎症が出る例が多くなっています。

通常、口から食べたり飲んだりした物や唾液は喉から食道を通って胃に送られます。嚥下と呼ぶ機能です。のみ込む際は、食道の隣の気管に間違って飲食物な度が入らないよう、ふたが閉まる仕組みになっていますし、誤って入っても、せきをしたりむせたりして気管の外に押し出されます。ところが、こうした働きは年とともに衰えてきます。

また、唾液の成分が若い頃とは異なってくることも影響します。若い人でも、唾液や飲食物が気管に入って細菌などが肺に達することはあります。そんなときなどに備えて、唾液中には細菌類 の増殖を抑える成分が含まれており、肺での菌の増殖を防ぎます。しかし、この成分は年とともに 減少してしまいます。

病気の後遺症や体力の低下などで歯磨きが不十分になると、歯と歯茎の間などに細菌の塊である歯垢(しこう)ができやすくなり、口の中の衛生状態が悪化。嚥下障害とあわさって細菌が肺に入ってしまいます。

そこで重要になってくるのが、口の中を清潔に保つケアです。国内の高齢者福祉施設の入居者を対象に、口腔(こうくう)ケアの有無と肺炎の発症率を2年間追跡したところ、ケアによって発症率を約半分に減らせたとの報告もあります。

投稿者: 希望ヶ丘デンタル